独占したい、甘々に。【完】
「駄目。また転ぶでしょ」


「そ、それはたまたまつまづいただけで」





先ほどのことを言われてしまうと何も言い返せなくなる。





「でも、それ結構重いから悠乃に持たせるわけにいかないよ」





私より華奢でか細いくらいだったんだし、怪我でもされたら私のほうが困る。





つい昔のことを思い出していた。





すると悠乃はそんな私を察してか、わざとらしく大きなため息をついたのだ。





え?なに?

私、なにか変なこと言っちゃった…?





「紗雪、俺…男だよ?これくらい簡単に持てるよ」





悠乃は不満げに言うと、頬をぷくっと膨らませていた。
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