*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
「ただいまっ!」
家に帰り着いて玄関扉を開けると、そこで待っているアンジュをギュッと抱きしめる。
アンジュも嬉しそうに尻尾を振りながら私の顎をペロペロと舐めて、「おかえりなさい」の抱擁を二人で交わした。
「杏奈もアンジュも、本当に仲良くなったな。」
それを見てニコニコと修平さんと言う。
「うん、仲良しだよね、アンジュ!」
彼女の首元を撫でると、尻尾の勢いが増した。
「アンジュも、杏奈がもう我が家の一員だって分かってるんだな。」
「我が家……」
修平さんの何気ない言葉に頬に朱が差す。『我が家』という単語から『結婚』を連想してしまう。自分の先走った想いに、我ながら恥ずかしくなった。
(やだやだ!付き合い始めてすぐに、そんなことを考えちゃうなんて、初めてだからって浮かれすぎだよ、私。)
『初めては重たい』って思われないように、と心の中で自分に注意を入れる。
少し前に読んだ恋愛小説で、主人公が同じように『結婚』を意識してしまって、結果として付き合っている人に『重い』と振られる場面があった。
(あんなふうにならないように気を付けなきゃ!!)
経験0の私にとっては、これまで読んできた小説達が先生代わりだ。
もっともその時読んだ小説では、失恋した主人公は彼女を必死に慰めて癒してくれた幼馴染とハッピーエンドになったんだけど…。
頭の中で色々なことがぐるぐると回っている。
先に廊下を進んでいた修平さんが振り返って私を呼んだ。
「杏奈、どうしたの?早く上がっておいで。ご飯できてるよ。」
「あっ、はい!!」
慌てて靴を脱いでスリッパを履き、私を待っていてくれたアンジュと一緒に、修平さんの後を追った。