*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
千紗子さんの淹れてくれた紅茶は本当に美味しかった。
甘くみずみずしい香りと爽やかな苦みとのバランスが絶妙で、これまで飲んだファーストフラッシュの中でもイチニを争うくらいにの美味しさだ。
一緒に出してくれマカロンは、紅茶をお裾分けしてくれた親戚の人が焼いたという。
このマカロンがあまりの絶品で、思わず叫び出したくなったほどだった。(ヒト様のお宅なのでさすがに我慢したけど)
(ヒロ君のお店でも出したいくらい、どっちも美味しい。)
そんなことを考えながら紅茶を味わっていると、じいっと見つめられる視線を感じて、手元のカップから視線を上げた。
千紗子さんと目が合った。
少し垂れ気味の大きな瞳が二つ、じっと私を見つめる。
彼女は何も言わず身じろぎもせず、私の顔を見つめているだけだ。
たまにする瞬きの時に、上瞼に乗った長い睫毛が揺れるくらいしか動きがない。
「ち、…千紗子さん?」
あまりに凝視されるのに耐えかねて、伺うように彼女の名を口にすると、千紗子さんは私から視線は外さずに口を開いた。
「杏ちゃん。瀧沢さんと何かあったんでしょう。」
「えっ!?ど、どうして…」
動揺した私を、彼女は真摯な瞳のまま見つめている。
「だって、今日の杏ちゃん、全然元気がないんだもの。昨日も何かに悩んでるみたいだったし。」
「千紗子さん……」
連休明けから千紗子さんとは休みが入れ違いになっていたから、一緒に働いたのは昨日だけだった。その昨日も早番と遅番でずれていたので、休憩も重ならなかった。
要は、短い時間でいったい彼女はどれだけ私の変化に気付くんだろう、ということだ。