*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
千紗子さんが淹れ直してくれた紅茶を飲みながら、私は事の成り行きを二人に語った。
途中、言葉がつっかえたり話が前後してしまったりと、自分でも『説明が下手だな』と思うことが何度かあったけれど、それでも千紗子さんと雨宮さんは時々フォローを入れることはあっても、何かを問い直すことや話を遮ることはなく、最後まで話を聞いてくれた。
「そういうことがあったのね…。じゃああの日は、疲れとショックで熱が出ちゃったのかもね。」
千紗子さんが心配そうに言うので、「熱はすぐに下がったから大丈夫です」と言って、へへっと笑っておく。
「杏ちゃんは瀧沢さんがTAKI建設の一族だって知らなかったのよね?」
「はい…。大きなお家に住んでるから、私みたいな庶民とは違うと思ってはいたんですけど、まさかそんなに大きな会社の御曹司だとは思わなくって……」
このことを二人に話した時、二人とも全然驚かなかった。
前に一緒にお昼を食べた時、修平さんに貰った名刺を見て、『もしかしたら』と思っていたらしい。
『株式会社TAKI建設』の前身は『瀧沢建設事務所』と言って、先々代の社長が一から起こし、今や県内に留まらず他府県に支社を置くほどの大きな会社に発展したことは、地元では有名な話らしい。
(結局、私が世間知らずだったってことだよね……)
他の人が当たり前に分かることが分からない、自分にがっかりする。
「御曹司ってこと、瀧沢さんに直接確かめてみたの?」
千紗子さんの問いに、黙って頭を横に振る。
「修平さんにきちんと謝って、そのことを訊こうと思っていたんですけど、結局そのまま出張で。」
「そうなのね…電話とかで話したの?」
「一日に一回はメッセージの遣り取りをするんですけど、電話は……忙しいみたいで、こちらからは掛けづらくて……」
「そっかぁ。それはちょっと辛いわね。」
私のことを気遣ってくれる千紗子さんの言葉に、私はぐっと唇を噛みしめる。
そうしないと、返事とは違う何かが溢れだしそうだった。
今の私には、優しい言葉が沁み過ぎる。