*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
「今八週目なの。一昨日分かったばかりなのよ。」
千紗子さんはそう言うと、気恥ずかしげに微笑んだ。
その途端、彼女の周りがラメパウダーを振りかけたみたいにキラキラと小さな光が幾つも瞬いた。
(あっ、これだったんだ……)
私は悟った。
ブランジェリーの前でも感じた、この何とも言えないキラキラとした柔らかな空気は、千紗子さんが『お母さん』になる幸せに包まれているからなんだと。
「お…めでとうございます……」
ポロポロと、私の瞳から勝手に涙がこぼれ出す。
「杏ちゃんっ!?」
突然泣き出した私に慌てた千紗子さんが、こちらへと歩み寄ってきた。
「な、泣かないで?びっくりさせちゃった??」
妊婦さんを慌てさせてはいけないと分かっているのに、勝手に溢れ出してくる涙を止めることが出来ない。
なんとか千紗子さんを安心させたくて、乱暴に手の甲で涙を拭いながら頭を左右に振った。
「ご、ごめんな″ざい…う、嬉しくって…なんだかホッとして……」
「ほっと…?」
千紗子さんが首を傾げると、彼女の肩から黒くて艶のある髪がひと房、ハラリとすべり落ちた。