*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
濡れた頬のまま女神の微笑みに見惚れていた私に、当の彼女はハッと何かに気付いた顔をした。
「もしかして杏ちゃん……気付いていたの?」
「えっ?」
「去年の秋のこと…」
千紗子さんの問いに、一瞬言葉が詰まった。
千紗子さんが痩せてしまったあの時に、『何があったか』ということは私の推測でしかなくて、誰かに訊いたり確かめたりしたわけではない。
すぐに「何のことですか?」と返せば良かったのに、その一瞬の間で、千紗子さんは私が『気付いていた』ということを知り、私は自分の推測が正しかったことを悟った。
「そうか…だからなのね……」
千紗子さんは少し遠くを見つめ、それから私へと瞳を向けると、私の体をふわりと抱きしめた。