*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
食事を済ませてお風呂に入った。
恋人同士になってからは、ゲスト用のシャワールームではなく、修平さんがいつも使っている家族用のバスルームを使うようになった。それも、修平さんがそうするように、私に強く勧めたからだ。
仕事での汗とホコリを流してサッパリとして、リビングに戻るとソファーで本を読んでいた修平さんが顔を上げた。
「おかえり。髪は乾かしたの?」
「ううん、まだだよ。湯船につかりすぎて熱くなっちゃたから、後で乾かそうと思って。修平さんはお風呂は?」
「もう入ったよ。」
GWに入ったその日、私たちは一つのルールを作った。
『お互いがお互いを待たない。』
勤務時間や休みがバラバラな私たちは、お互いの時間に合わせようとすると、やっぱりどこかに無理が生じてくる。
修平さんは残業で遅くなることも多いし、私も遅番の時は帰宅が九時前になることもザラだ。
すれ違いの毎日だから、「夕飯くらいは一緒に」と思ってしまうけれど、それだと消灯時間が毎日遅くなってしまう。
少しの無理でも積もり積もれば、大きな無理になってしまうかもしれない。
そう考えた私たちは、夕飯の時間には一人でも食事をして、お風呂も順次済ませておく、と決めたのだった。
でも、先に済ませた方も大抵は今日みたいに、後から帰ってきた人と一緒にテーブルに着いて、飲み物を片手にその日の出来事を話したり、今後の予定を立てたり、と、コミュニケーションを欠かさず取っている。
「杏奈、ここ座って。」
私を手招きして自分の隣に座らせると、彼はパウダールームからドライヤーを持ってきて私の髪を乾かし始めた。
連休始まってからもう三度目で、やっと彼に髪を乾かされる行為に慣れてきた。
最初は緊張してガチガチだった私だけど、慣れてくると肩の力が抜けて、髪を優しく梳かれたり撫でられたりするのが気持ち良い。
(喉を撫でられる猫の気分…。)
彼の手に身を委ねるながら、その心地良さにうっとりと目を閉じた。
「出来たよ…と。寝ちゃってる…」
頭の上でクスッと笑う声は、深い眠りに落ちた私にはまったく届かなかった。