*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!

 「俺も見てたぞ、その村上さんとか言うひとが、嬢ちゃんを押すところを。」

 「なっ……」

 言い返そうと口を開いた村上さんに反論させる間もなく、健太郎さんは言葉を続ける。

 「しかも割とすぐ近くでな。嬢ちゃんが最初に男性を避けたすぐ後、斜め後ろから押しただろ。あんたに押された反動で嬢ちゃんはさっきの男性にぶつかったんだ。」

 「そ、そんな…、みんなで寄ってたかってその子を庇って……その子にそんな価値があるなんて信じられませんっ!!」

 半ば叫ぶように言った村上さんは、渾身の怒りを込めて私を睨みつけた。

 「あんたばっかり……」

 怒りに打ち震える彼女の迫力に息を呑む。

 凍りついたように固くなった私の背中を、温かな手のひらがそっと撫でる。そしてその手を私の肩に回すと、自分の方へぐっと引き寄せた。

 そこかしこから「キャーー」という女性たちの悲痛な叫びが聞こえてくる。

 (しゅっ、修平さん!?)

 抱き寄せられた私は、修平さんの右側にピッタリと張り付くような形になった。
 綺麗なブルーのネクタイが、目前にある。

 公衆の面前でこんなふうに異性に密着したことなんかない私は、一気に体が熱くなった。
 顔が真っ赤になっているのが自分でも分かって、恥ずかしすぎて顔を上げられない。


 「村上さん。君は何か勘違いしている。」

 静かだけどハッキリとした声がすぐ真上から耳に届いた。

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