*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
しがみついた体に、ぎゅうっと強く顔を押し付ける。爽やかなシトラスがふわりと香る。
いつも私の胸を高鳴らせると同時に、絶対的な安心感を与えるその香りに、気持ちが溢れ出す。
喉の奥がツンと痛い。
ギュッとつむった瞼は、熱く湿り気を帯びていく。
急に抱きつかれた修ちゃんは、びっくりして固まっているみたいだった。
それも無理はないだろう。普段は恥ずかしがってそんなことをしない私が、急に自分から抱きついてきたのだから。
それでもそれは数秒のことで、恐る恐る私の肩に手を置いた修ちゃんは、幼子をあやすような声で聞いてきた。
「杏奈、どうした?何か嫌なものでも……」
「嫌じゃないっ」
修ちゃんの台詞を遮るように声を上げた。その声が震えていることに、彼が気付かない訳はない。
「杏奈……泣いてるの?」
気付かれたと感じた瞬間、堪えていた涙腺が崩壊した。
「う、嬉しくてっ…こん、な…素敵な…部屋っ、ううっ」
鼻を啜りながら話す嗚咽交じりの声も、最後の方は泣き声になってしまいちゃんと言えない。
でもちゃんと修ちゃんには伝わったみたい。
私の肩に置いていた両手を、背中に回してギュッと強く抱きしめてくれた。