*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!

 「やっぱり杏奈の好きなものを買いに行こう。」

 隣からそんな言葉が聞こえてきて、手が止まる。
 振り仰ぐと神妙な顔つきの修ちゃんが、私を方を見つめている。

 じっと見つめる彼の目線を辿ると、私の手元に辿り着く。
 私の目は、自分の手の中にある杏と彼の視線を往復した。

 「アプリコットジャム、私は好きだよ。」

 そう言うと、きょとんとした顔をする修ちゃん。

 「あ、修ちゃんが食べたいなら他のジャムも作るよ。晴見オレンジとか美味しいし、買ってきてマーマレードにしようか?」

 ジャム作りの話しを一人で話す私に、修ちゃんは瞬きを三回ほどすると、「そうじゃないよ、杏奈。」と言って私の手を取った。

 杏を握ったままの私の手を持ち上げた彼は、そのままその手に顔を寄せ、ちゅっと音を立てて口づけた。

 「なっ、」

 驚いた拍子に手の中の杏がゴロリと足元に落ちる。それを目で追おうとした私を修ちゃんの言葉が引き止めた。

 「指輪…してないね。気に入らなかった?」

 「えっ!?」

 「あんまり着けてるのを見ないから、気に入ってないのかと…やっぱり杏奈が気に入ったものを選ぶべきだったな。」

 「違うのっ!」

 彼の言葉を渾身の力で否定した。
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