*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
私の手を持ち上げたままの彼の手を、反対の手でギュッと握る。
キッチンで向かい合ったまま、彼に向かって口を開いた。
「気に入らない、なんてことない!気に入らないどころか、気に入りすぎて大事過ぎてちょっと……見るからにとても高価なものだし、お祖母さまの形見でもあるんだから、うっかりどこかに落としたらとか、傷でも付けてしまったらとか、考えだしたら怖くって。今はケースに入れて部屋の机に飾ってあって、毎日眺めるだけで幸せで、見ているだけでお姫様になれた気になって、ずっと見てても飽きないし、ほんといくらでも時間を忘れて見てられるから、この前なんて気付いたら仕事に遅刻しそうになっちゃうし……着けて仕事になんて行ったらもうホントずっと空想の住人になって仕事にならないっていうか……だから、あのっ、本当に気に入ってるから他の指輪なんて買わなくてもいいのっ!」
勢いよく言葉をまくしたてた。言いたいことを全部言い切って、ちょっと酸欠だ。
するとそれまで黙っていた修ちゃんが、突然ぷっと吹き出した。
「ぷぷっ……あははははっ」
目の前で大爆笑し始めた彼に、あっけに取られる。
「しゅ、修ちゃん……?」
「くっくっく…」
なかなか収まりそうにない笑いに、私は観念した。
普段はこんなふうに大口を開けて笑い転げるなんてことのない修ちゃんだけど、いったんスイッチが入るとなかなか収まらないことは、この短い付き合いでも理解している。
ひとしきりお腹を抑えながら笑っていた修ちゃんは、しばらくすると顔を上げ私に「ごめん」と言った。
なんとか笑いは収まったようだけど、肩を震わせながらの言葉はまだ笑いの余韻を残している。
彼に悪気はないと分かっていても、自分の台詞が笑われたことが恥ずかしくて赤くなった顔を誤魔化すように、頬を膨らませてジロリと彼を睨んだ。