*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
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オーブンレンジの中で焼かれているグラタンを横目に、揚げ物の準備を整える。
『熱いものは熱いうちに』がおもてなしの基本だと、飲み物や料理をプロとして提供する父に、叩き込まれて育ったので、揚げ物は来客が到着してから揚げることに決めていた。
揚げ物をいつでも始められるよう準備してから、テーブルのセッティングの最終チェックをしようと、キッチンからダイニングテーブルに回り込もうとした、その時。
真後ろにあるドアが、ガチャリと音を立てた。
とっさに、お客様をお出迎えした修平さんが戻って来たのだと思った。
「しゅうへ、っ!!」
振り返りながら、彼の名を呼ぶ声ごと息を飲みこんだ。
ドアの間から体を出したのは、見上げるほど背が高く、がっしりとした体つきの『熊』みたいな男性だった。
この家は、背の高い修平さんが設計しただけあって、天井も高いし、併せてドアも高めのものが付いている。
でも、目の前の彼はそのドアを、少し頭をかがませて入って来たことで、 きっと190㎝以上あるだろうと推測される。
そんな大きな男性がすぐ目の前から私のことを見下ろしている。
息を吸い込んで上を向いたまま、頭が真っ白になって固まって動けない。
首を大きく伸ばして頭を後ろに倒さないといけないほど、大きなその人の目は、少し垂れ気味で切れ長だけど、黒目の部分が大きくて、何かを言いたげに私のことをジッと見つめている。
私は何かを言わなければならないと頭では分かっているのに、口を開けたまま言葉を発することができない。
「折角の休日にお邪魔しちゃってごめんなさい。」
目の前の大きな男性の脇から、透き通るような大人の女性の声がして、私はずっと上を向いていた首をゆっくりとそちらに向ける。
「あ、」
男性の後ろから、ヒョコッと顔を出しているのは、数度顔を合わせたことのある『葵さん』だった。