*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
 「おい、葵。杏奈に引っ付くなよ。」

 その腕は私を自分の方へと引き寄せることで、葵さんから引き離した。
 その腕の主はもちろん修平さんで、彼はすぐに私の体を後ろから確保する体勢を取る。

 「いいじゃない、女の子同士でしょ!」

 「良くない。」

 「やだっ、もしかして修平くん…ヤキモチ?」

 「……」

 からかうような顔をして笑う葵さんに、修平さんは何も答えない。

 「え、やだ、もしかしてホントに!?」

 さっきまで細めていた目を、今度は真ん丸にして彼女は驚いた。

 「すごいっ!!あの『ギャップ王子』が妬いてる!?しかも女の私に!!」

 (『ギャップ王子』…?
 流れから考えると修平さんのことだと思うけど…
 『王子』は分かるけど、『ギャップ』って………)

 なにやら色んな疑問が沸いてきて小首を捻ると、頭の後ろから思ってもみない言葉が放たれた。

 「葵、うるさい。」

 冷たくそう言い放った声が、いつもの彼とは思えなくて、思わず後ろを振り仰ぐ。
 そこには、いつも私が見ている優しげな微笑みの彼ではなく、スッと目を細めて葵さんを見る姿があった。

 「えっと、あの…」

 なにやら不穏な空気に、割って入ろうとしても言葉が見つからない。
 どうしてよいのか分からずに内心アタフタしていると、

 「おい、二人とも、そこのお嬢さんが困ってるぞ。とにかく今はそこまでにして、俺にも自己紹介させてくれ。」

 熊のような風体の、もう一人のご友人が、ゆったりとした口調でそう言うと、葵さんがハッとした顔をしてから「ごめんなさいね」と謝ってくれた。

 修平さんも、「ごめん。とりあえずこんな所じゃなんだから」と、二人をテーブルの方へ誘導して、私たちは四人で向かい合ってテーブルに着くことが出来た。
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