*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
テーブルに着くと、修平さんが冷蔵庫から飲み物を持ってきた。
私以外の三人にはビールを、私にはアルコール度数低めの缶酎ハイを、それぞれのグラスに注ぐ。
「とりあえず、乾杯してからゆっくり話そうか。」
「そうだな。」
「では、乾杯。」
カチンとグラスが軽快にぶつかる音がした後、四人ともグラスに口を付ける。
「あ~うまいっ!休日に飲むビールは最高だなっ。」
「この前は『仕事の後のビールは最高だ』って言ってなかったか、ケン。」
「はははっ、いつ飲んでも旨いってことだ、細かいことは気にするなよ。」
気心の知れた男性同士の気安い会話に耳を奪われる。
男友達や兄弟の居ない私は、こういう会話に触れる機会がほとんどない。
なんだか新鮮な気持ちで、二人の会話に聞き入っていた。
「ところで、今日は突然押しかけてしまってすみませんでした。俺は戸部健太郎と言います。修平とは高校からの腐れ縁、ってとこかな。」
すっかり視聴者モードで話に聞き入っていた私は、突然話を振られて大いに焦った。
「は、はじめまして。宮野杏奈、です。先月から修平さんのお家でお世話になっていますっ!」
「杏奈、お世話になったのは俺の方だろ?」
隣に座る修平さんが、私の自己紹介を訂正する。
「そんなことないよ。私は大したことしてないし、住むところをお世話になったのは事実だもん。」
「だとしても、今は『お世話になってる』訳じゃないだろ?ここはれっきとした『杏奈の家』なんだから。」
隣から腕を伸ばした修平さんが、私の頭を優しく撫で、ニッコリと微笑んだ。
「う、うん、そっか…そうだね。」
「分かればいいんだ。」
満足そうに笑みを深くした修平さんに、私もニッコリと笑って見せる。
修平さんとの遣り取りが落ち着いたところで、テーブルの向かいから強い視線を感じた。
顔を上げると、向かいに座っている葵さんと戸部さんが、二人して私たちをじっと見つめていた。