*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
 「え…っと、何かありましたか?」

 「……すごい。」

 それだけ呟いた葵さんは、大きな瞳がさらに大きくして、その長い睫毛を上下に揺らして瞬きをしている。

 「え?」

 「全然違う…」

 「ああ…俺もこんなシュウは今まで見たことがない。」

 「健太郎もそう思うでしょ?だから私初めて会った時、この子が修平くんの『アンちゃん』なんだって、直ぐに気付いたのよ。」

 二人して顔を見合わせてアレコレと話しているけれど、私は何の事だかさっぱりわからなくて、隣の修平さんを振り仰いだ。

 するとそこには何か失敗をした後のような、バツが悪そうな顔をした修平さんがいる。

 「修平さん??」

 「勝手に色々言ってくれてるけど、一つは間違ってるから」

 戸部さんと葵さんが「え?」と声を揃えて言う。

 「『アン』はこっち。おいで、アンジュ。」
 
 修平さんが呼ぶと、リビングの定位置におとなしく待機していたアンジュが、尻尾を振ってこちらにやってきた。

 「わっ!大きなワンちゃん!」

 葵さんがはしゃいだ声を出す。
  
 「こいつはアンジュ。三年前から家で飼ってる犬なんだ。」

 修平さんはアンジュの頭をしっかりと撫でながらそう言った。

 「だから、『アン』はアンジュのことで、別に俺は嘘はついてない。」

 「ふ~~ん。」

 なにやら訝しげに返事をした葵さんに、修平さんは苦いものでも噛んだような顔をしている。
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