*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
 「修平くんって職場と家では大分違うのね。同期の私でも、そのギャップにびっくりしたわ。さすが『ギャップ王子』ね。」

 「それ、やめろって…」

 釣目がちな丸い瞳を、いたずらげに光らせた葵さんが「ふふふふっ」と笑って私の方を見る。
 彼女の意味深な微笑みに、胸の奥にモヤモヤとした感情が沸き上がる。
 目の前の楽しそうな彼女とは対照的に、黒くでドロドロとしたこの気持ちの正体は何なのか…。


 「杏奈ちゃん、『ギャップ王子』の由来、分かるかしら?」

 「えっと…」

 葵さんの声に、ハッとする。
 まばたき二回の間に、意識を彼女に戻した。 

 口元に手を当てて、少し考え込むポーズを作る。

 「『ギャップ王子』ですか…?」

 修平さんの見た目はまさしく『王子様』だ。
 すれ違う女性達が彼のことを振り返るくらい、素敵な容姿をしている。

 中身だって本当の王子様みたいに優しくてカッコイイ。
 柔らかで丁寧な言葉遣い、素敵な微笑み、スマートなエスコート。
 彼はいつも王子様みたいで、私はいつだって彼にドキドキしてしまう。

 「分かりません。」

 素直にそう応えると、葵さんが

 「うふふ、今の返事を聞いたら、わが社の女性社員全員に恨まれちゃうわね。」

 と言う。

 「おい、葵。杏奈に変なこと、」

 「修平くんはパッと見、アイドルみたいに華やかで優しそうだけど、女性社員にはそっけない態度しかとらないし、仕事に関しては男女関係なく『鬼』のように厳しいのよ。それで、その見た目との差から『ギャップ王子』って呼ばれてるの。」

 修平さんの静止が聞こえないかのように、葵さんはスラスラと質問の解答を話した。

 「え?…本当ですか??」

 彼がそっけない態度を取るところが想像できなくて、思わず聞き返す。
 そっけないどころか、『鬼』なんて、想像しようとすることすら出来ない。

 「うふふふっ、杏奈ちゃんは修平君に愛されてるのね。」

 葵さんの爆弾発言に、一瞬にして顔が真っ赤に染まった。
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