*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
 彼の作ったお弁当を口にして、私は自分が思っていたより空腹だったことに気付いた。
 朝からずっと張りつめていた気持ちがゆるゆるとほどけていく。

 いつも同じものを食べているから、きっと私の舌はすでに彼の料理を『自分の家の料理』だと認識しているのだと、そんなことを考えながら次々と箸を進めていった。
 
 
 「ごちそうさま。すごく美味しかった~!満腹です。」

 お弁当箱の蓋を閉めてから手を合わせてそう言うと、

 「お粗末さまです。」

 そう言って嬉しそうに修平さんが私を見つめる。

 心から嬉しそうな彼の笑顔に、胸がドキドキと高鳴った。

 いつ見てもどんな時でも綺麗な顔の彼に微笑まれるだけで、私の心臓は忙しくなってしまう。
 こんなにいつも忙しく動いていたら、私の寿命は小動物みたいに短くなってしまうかも、なんて馬鹿なことを考える。

 木立から木漏れ日が差し込む。
 遠くからこどもの遊ぶ声が聞こえる。
 爽やかな風が草木を揺らす。 
 五月の陽差しが彼の茶色い髪に当たってキラキラと輝く。

 (この笑顔がいつも隣にあるなら、寿命が縮まってもいいや。)

 彼の顔を見上げながら、私は今ここにある幸せを噛みしめた。
< 59 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop