クールな御曹司の甘すぎる独占愛

「先ほど柳様から仰せつかりまして、こちらのサンドとコーヒーを。……あ、申し遅れました。光風堂の春川と申します」


トレーを彼のほうへ滑らせ、頭を下げる。

奈々のすぐ目の前に立った男性は、「ありがとう」と言いながらクスッと笑みをこぼした。
鼻にシワを寄せた表情がかわいらしく見えるのに、それでいてしっとりとした眼差しには色香がある。

なんて魅力的な笑顔の人だろう。

奈々がつい見惚れていると男性が胸元から名刺を取り出したので、奈々は反射的に手を出した。


「水瀬晶(あきら)です」
「水瀬、晶さん……」


彼の言葉を繰り返しながら名刺を見る。
そこには柳と同じように“ネクサス・コンサルティング”の社名のほかに“コンサルタントマネジャー”の肩書きが書かれていた。


「これからセミナーがあるとお聞きしましたが、水瀬さんが講師をされるんですか?」
「よくご存じですね」


水瀬がニコッと微笑む。

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