クールな御曹司の甘すぎる独占愛

「さきほどお店にいらっしゃった柳様がおっしゃっていました」
「こんな若造が講師?って思われますよね。三十一歳だと箔がないかな」
「いえっ、それはぜんぜん!」


肩をすくめておどける水瀬に、奈々は慌てて否定した。

それはうそではない。さっき電話で話していた内容は専門用語が出てきた部分もあり、理解できたのは半分程度。それでも頭が切れ、相手を納得させる話術を持った人だと端々から感じられた。世界でも有数のネクサス・コンサルティングのマネジャーなのだから、よほどの人物なのだろう。


「本当?」
「はい」


水瀬に顔を覗き込まれ、奈々はドキッとしながら顎を引いてうなずいた。

光風堂には当然ながら男性客も多く訪れる。外資系高級ホテル内のため、それこそ洗練された一流と呼ばれる男性が。奈々はいわゆるイケメンに免疫がないわけではない。だが、水瀬はそれらの人物とはまた一線を画した容姿の持ち主。眉目秀麗とは彼のような人を言うのだろう。

自然と熱くなる頬を隠したいが、ナチュラルメイクでは限界。それを悟るとさらに熱をもつから困ったものだ。

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