クールな御曹司の甘すぎる独占愛

「ごめんなさい。そんなに熱かったですか?」
「いや、自分が猫舌だって忘れてた」


水瀬は自嘲するように笑った。


「水瀬さん、猫舌なんですか?」


意外性に奈々が驚く。完璧に見える水瀬が、まさかそんな部分に弱点を持っているとは。


「情けないけどそうなんだよ」


フーフーしてはおそるおそるカップに口をつける水瀬を見て、奈々は思わずクスッと笑みをこぼした。なんだかかわいい。


「こら、奈々、笑うな」


コツンと軽く頭を小突かれ、奈々の胸がドキンと弾む。「ごめんなさい」と言いながら、熱くなる頬を押さえた。


「さてと、コーヒーが冷めるのを待つ間にやっちゃおうか」
「はい」


ここへ水瀬を連れてきた目的。それは、光風堂の未来を担う販売管理シートの入手だ。

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