クールな御曹司の甘すぎる独占愛
「それはよかった」
水瀬が胸に手をあてて破顔する。大げさに見える仕草なのにぜんぜん嫌味じゃない。むしろ素敵にすら見えるのは、その類まれなる容姿のせいなのか。
奈々はどぎまぎしてどうしたらいいのかわからなかった。
「三年ぶりに日本へ帰ってきたんだけど、久しぶりに光風堂のクラブハウスサンドが食べたいと思って。でもセミナーの準備でここを離れるわけにはいかないから、柳にお願いしたんです」
「以前にもうちにいらしたことがあるんですか?」
「そのときも差し入れでいただいたもので、直接お店には行ってないんですけどね」
確かに店にあるメニューの中でもサンドは人気がある。今や和菓子を食ってしまう勢いだ。しかし水瀬はもしかしたら、光風堂が和菓子店だとは知らないのかもしれない。
「うちは和菓子を扱っているお店なんです」
「え?」
奈々の読みどおり、水瀬は普通のカフェだと思っていたようだ。美しいアーモンド形の目を驚いたように見開く。