クールな御曹司の甘すぎる独占愛
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その日も無事に終わり、明美を店から見送る。
サービスで和菓子を付けるようになって二日目。一昨日よりはそれぞれの和菓子の売れ行きが、ごく僅かだが増えている。店に立っていても、試食として出した商品を買ってくれるお客が多くなった印象だ。
とはいえ、たったの二日。これくらいの実績では効果はまだ見えない。
バッグからスマホを取り出し、水瀬の連絡先を表示させる。電話をかけていろいろと報告したいのはやまやまだが、まだ仕事中だったら邪魔はしたくないと指先が迷う。
連絡先を表示させてはホームボタンで消すのを繰り返していると、不意打ちで着信が入り、奈々は思わず「キャッ」と小さく声をあげた。水瀬からだったのだ。
一瞬自分が誤ってかけたのかと焦ったが、着信音が鳴っているから違うと胸を撫で下ろす。
「もしもし、奈々です」
応答をタップすると、《ネクサス・コンサルティングの水瀬です》と律儀に名乗るものだから、奈々はふっと笑みをこぼす。直後に《なんてね》と水瀬はおどけた。