クールな御曹司の甘すぎる独占愛
それが決して上っ面だけの言葉ではないのは、奈々もわかっている。コンサルにうそは禁物だろうから。経営者に対して虚偽の報告をしていたら本末転倒。コンサルタントの存在価値がなくなる。
……とはいえ、光風堂は水瀬に一銭も払ってはいないが。
だが、水瀬は絶対にマイナスな言葉は言わない。奈々が弱音を吐けば、《そんなことはない》と必ず力強い言葉が返ってくる。ここまで頼りになる心強い人を奈々は知らない。
《ところで、奈々はもう和菓子は作らないの?》
「ここ一年はあまり作っていなかったのですが、試食として出す分も必要なので、また作り始めました」
《なんだ。それじゃ今日にでもそれをゲットしに行ければよかったな》
その言い方では、水瀬は今夜ここへは来ない。がっかりしている自分に気がついて、奈々は慌ててその想いを心の奥底に封じ込める。そうだというのに奈々の口からは、その隙を突いた言葉が漏れる。
「それじゃ今度、水瀬さんに作ってお持ちします」
《ほんと? それは嬉しいよ》
「初夏の新作を練っているので、水瀬さんのご意見を伺いたいです」