クールな御曹司の甘すぎる独占愛

奈々は自分から会う口実を作った。頭でいくら引き留めても、心が糸を引いた口は勝手に動きだす。


《楽しみに待ってる》


水瀬にそう言われ、胸がうれしさに弾むと同時においしいものが作れなかったらどうしようと微かに不安も覚える。


《まだ店だよね?》
「はい」
《気をつけて帰るんだよ。おやすみ、奈々》


最後に“チュッ”とリップ音が聞こえて、奈々の鼓動が飛び跳ねる。耳に直接キスをされた感覚に陥り、さらには昨夜のキスまで蘇る。おかげでおやすみも言えずに電話を切った。

いつまでも甘い余韻に浸っている奈々を現実世界に引き戻したのは、スマホの着信音だった。モニターには真弓の名前が表示されている。

「はい、奈々です」と応答すると、《仕事終わった?》と開口一番に真弓の確認が入る。


「うん。まだお店だけどね」


そろそろ帰るところだ。

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