クールな御曹司の甘すぎる独占愛
桜は散り、間もなく新緑の季節。目の前の街路樹は、青々とした葉を夜空いっぱいに広げる。
私もあの木のようにめいっぱい背伸びしよう。密かにあたためてきた水瀬さんへの想いを素直に伝えよう。
街路樹を見上げながら奈々が決意を新たにしていると。
「あれ? 奈々さんじゃないですか?」
声に顔を向けてみれば、そこには柳が目を丸くして立っていた。仕事が終わったのか、ビルから出てきたところだ。
膝にのせていた小箱をベンチに置いた奈々が立ち上がる。
「こんばんは」
「もしかして、僕を待っていたんですか? ……なんてことはないか」
柳が激しく自分の頭を掻く。
「あ、いえ、その……」
水瀬は柳に光風堂の経営相談に無料でのっていると話していない可能性もある。ここにいる理由がほかに思い浮かばない奈々は、どうしたものかと困った。