クールな御曹司の甘すぎる独占愛

「水瀬さんですか?」
「えっ……」
「あ、いや、なんとなーくそうかなと」


柳はそそっかしいだけではないようだ。なかなか鋭い。


「すみません。あの、水瀬さんはまだお仕事中ですよね」


否定も肯定もできずに、奈々は誤魔化すように質問を返す。だが、まさに水瀬を待っている問いかけにほかならない。


「今日はまだかかると思いますよ。今朝まで出張だったので、その報告を兼ねて部長や支社長と打ち合わせしているんです」
「そうなんですね……」


だとすると、ここで待っているのは水瀬にとって負担だろう。メールを読んだかどうかは定かではないが、水瀬を急がせることになる。出直すしかないようだ。


「それって光風堂の和菓子だったりします?」


柳がベンチに置いた小箱を指差した。箱には光風堂のロゴが描かれている。直接手渡しができないのなら、柳にお願いしたほうがいいかもしれない。自分の気持ちは、またあとにしよう。

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