クールな御曹司の甘すぎる独占愛
そうしてマンションまであと二百メートルまで来たとき。少し先からこちらをじっと窺う人影が動くのが見えた。
奈々の目よりも心臓が先に反応して、ドキッと弾む。
……まさか水瀬さん?
信じられない人の姿に足取りと鼓動が速まっていく。奈々自然とは走っていた。
「水瀬さん!」
嬉しさに声が弾む。どうして彼がここにいるのだろうか。だが、そんなことはどうでもいい。今はとにかく会えたことが嬉しくてたまらない。
走り寄る奈々を見つめる水瀬の表情は、心配から安堵へと変わる。
「今までどこにいたんだ」
「駅前の本屋でちょっと。水瀬さん、お仕事じゃなかったんですか?」
「打ち合わせを終えてデスクに戻ったら、これが置いてあったから急いで飛んできた」
水瀬が手にしていた小箱を奈々に見せる。それは奈々が柳に託したものだった。
「ごめん、メールに気づくのが遅れたよ」
「いえ、私こそお仕事中だったのにすみません」