クールな御曹司の甘すぎる独占愛
奈々が肩から脱力したのに気づいた水瀬がクスクス笑う。
「はい。新作を作ったのは久しぶりだったので。それに水瀬さんに食べてもらうから、必要以上に緊張しちゃいました」
「俺ってそんなに辛辣なことを言いそう?」
「違うんです」
奈々は慌てて首を横に振る。そうはまったく考えていない。
「水瀬さんに誉めてもらえるかなって」
新作を作りながら考えるのは、どうしたら水瀬を喜ばせられるだろうということだった。
本来ならばひとりのためだけにではなく、お客を平等に考えなければならないだろう。恋とは厄介なものだ。やることすべて、考えることすべてが想い人に向かってしまう。
だが、水瀬も光風堂の和菓子を愛してくれるお客のうちのひとり。代表して彼を想って作ってもいいだろうとの結論に達した。
目を逸らしてうつむくと、水瀬は奈々の肩を引き寄せた。その髪に水瀬がキスを落とす。
ドキッとした奈々が顔を上げると、そこには水瀬の甘い眼差しがあった。とろけるんじゃないかと思えるほどの甘さと熱っぽさに、奈々の鼓動が急加速していく。