クールな御曹司の甘すぎる独占愛
花いかだは午後五時からの営業。すでに水菓子としてお客のもとへ出されただろう。
正直言うと、依子の報告を聞くのは少し怖い。もしかしたら不評で明日からは遠慮したいと申し出があるのではないかと。
「大丈夫だよ」
黙り込んだ奈々を水瀬が即座にフォローする。水瀬がすごいのは、なにも言わずとも奈々の気持ちを読み取るところである。
「光風堂の和菓子に自信をもつんだ」
水瀬に言われるだけで、本当に大丈夫だと思える。
「ありがとうございます」
奈々が笑いかけると、水瀬の横顔にも笑みが浮かんだ。
それからほどなくして、車はあるホテルの駐車場で止められた。ホテルミラージュ横浜。エステラと並ぶ高級ホテルだ。
ドアマンの開けたエントランスドアを抜けると、煌びやかなシャンデリアとゴージャスで大きなアレンジフラワーに出迎えられる。