クールな御曹司の甘すぎる独占愛
さり気なく腰を抱いた水瀬にエスコートされる奈々は、胸の高鳴りを抑えられない。
もしかしたら、このホテルの部屋に直行するの……?
奈々の気持ちを伝えた夜を思い返す。甘いキスのあと、《続きは次の楽しみに》と水瀬に言われた言葉が、今の状況につながっているように思えた。
ところが奈々の焦りとは裏腹に、水瀬はフロントへは寄らずエレベーターへ乗り込んだ。
「ここで食事をしようと思って」
「あ……食事なんですね」
ホッとするやらがっかりするやらで、奈々の心は大忙しだ。
「部屋に連れて行かれると思った?」
いたずらっぽい水瀬の表情に奈々の鼓動がドキンと弾む。やはり、また心を読まれた。
「い、いえっ……」
否定してみるものの、事実が伴っていないから一気に頬が火照る。 うつむいた奈々を水瀬は優しく引き寄せたかと思えば、かすめるようにして頬に唇で触れた。