クールな御曹司の甘すぎる独占愛
和菓子に興味を持ってもらえてうれしく、奈々は両手を胸の前で握りしめた。
「あそこまで語られたら食べないわけにはいかないからね」
水瀬から投げられたウインクにドキッと鼓動が弾む。
イケメンとはなんて罪な生き物なのだろう。仕草や言葉の一つひとつが、こんなにも心を揺さぶるのだから。奈々の心臓はさっきから忙しない動きをしっぱなしだ。
「あれ? 俺が頼んだのはアボカド入りだったんだけど」
不意にサンドに視線を向けた水瀬がポツリと呟く。
「そ、そうだったんですか。申し訳ありませんでした。では、すぐに作り直してまいります」
柳が指差したのを明美が見間違えのかもしれない。
奈々が急いで踵を返そうとすると、水瀬は「いや、大丈夫」と即座に引き留める。
「奈々さんが謝る必要はないよ。柳が間違えたんだろう。そそっかしいんだ」