クールな御曹司の甘すぎる独占愛

もちろん奈々ひとりの頑張りでないのはわかっているが、それを認めてくれる人がいるのはとても心強い。


「私、もっと頑張ります」
「あまり無理せずにお願いしますよ。奈々さんが倒れたら元も子もありませんからね」


清人の言うことはもっとも。今、無理をしすぎて倒れるわけにはいかない。


「ありがとうございます。ほどほどにやりますね」


両手で拳を握って胸の前でひと振り。清人も道隆も片手で拳を作り、それに応えてくれた。

奈々が厨房を出ようとすると、ちょうどいいタイミングでスイングドアから明美が顔を覗かせる。


「奈々さん、お客様です」
「はい。すぐに行きます」


店に出てみれば、そこには三十代前半くらいのスーツ姿の男性が立っていた。

綺麗に整えられた黒髪には一切乱れがなく、くっきりとした二重瞼は鋭さを秘めているように見える。上質な仕立てのグレーのスーツはスリムで、スタイルの良さを際立たせていた。端正な顔立ちをしているが、どことなく気難しそうな雰囲気をまとった男性だ。

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