クールな御曹司の甘すぎる独占愛
その男性は奈々を見て一瞬目を見張った。
「あなたが春川奈々さん?」
「はい。私が春川ですが……」
「私は小田高弘(おだ たかひろ)の政策秘書の宮内蓮也(みやうち れんや)と申します」
名乗りながら、彼が奈々に名刺を差し出した。
小田高弘と言ったら何期にもわたり国会議員を務め、法務大臣を歴任した経験もある大物だ。その名刺を見て、奈々は切ったばかりの依子との電話のやり取りを思い出した。
「驚いたな。こんなに若い女性が和菓子屋の主人とはね」
奈々の頭の先からつま先まで視線を滑らせた宮内は、もの珍しそうな目で微笑む。
なんだかちょっと苦手なタイプだな。
彼に対する奈々の第一印象は、あまり良いものではなかった。
「ここの和菓子を大量に必要としているんだけど、予約ってできるかな」