クールな御曹司の甘すぎる独占愛
国会議員の秘書だからなのか、自分はほかの人間とは違うといった意識が働くのかもしれない。どことなく横柄な言い方だったが、お客に変わりはない。奈々は冷静に「はい」と返した。
「必要なお日にちはいつでしょうか?」
「今度の土曜日なんだけど。無理?」
土曜日と言ったら四日後だ。数にもよるが準備には十分だろう。
「どのくらい必要でしょうか」
「そうだなぁ、例えばここに並んでいる和菓子を四種類ひと組にして箱詰めにして、それを五百箱分」
それはまたずいぶんと多い。
奈々が目を丸くして驚くと、「やっぱり無理だよね」と宮内が軽く笑う。なんとなく馬鹿にされたような気がした奈々は、「いえ、できます」と少し強い口調で言い返した。
「それはよかった。実は昨夜、花いかだで出された和菓子を和田がとても気に入ってね。今週末にある小田の支援者懇親会でお土産に配りたいと」
「つい先ほど、花いかださんからご連絡をいただきました。もしかしたら大口のお客様がお見えになるかもしれないと」
「さすが依子さん。華麗なる手回しだな」