クールな御曹司の甘すぎる独占愛

◇◇◇

「奈々さん、具合でも悪いですか?」


店に戻って早々、奈々を見た明美が心配そうに声をかけてきた。


「え? どうして?」
「なんだか顔が赤いから。熱でもあるんじゃないかと思って」


おそらく水瀬といたせいだろう。未だに胸がドキドキとしている。

容姿はもちろん、水瀬の醸し出す雰囲気は凛としてやわらかく、口調も声色も優しい。それでいて眼差しにはどこか強さを秘めていて、一度目が合うと逸らせない力がある。魅惑的な男性という形容が一番しっくりくるように奈々には思えた。


「熱はないから大丈夫よ。ありがとう」
「それならよかったです。あ、水瀬さんって方は、鳳凰の間の控え室にはいらっしゃいましたか?」
「い、いらっしゃったわ」


うっかり目を泳がせると、明美は「どうかしたんですか?」と鋭く探りを入れてくる。


「ううん、特になにも」

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