クールな御曹司の甘すぎる独占愛
晶はやんわりとその腕を振りほどき、紳士的な態度とは裏腹にどこか冷めた目でミヤビを見上げる。周りの目があるせいかもしれないが、照れ隠しの可能性もある。
ただひとつ言えるのは、人気絶頂の大女優と並んでも、晶がぜんぜん引けをとらないことだった。容姿は言うまでもなく、オーラも品格も、ぜんぜん負けていない。お似合いのふたりに見えた。
晶に相応しい女性とは、こういう人なのかもしれない。奈々は、ふとそんなことを思い、胸の奥がキュッと詰まる思いがした。
「晶、このあとなにか予定は入ってる? お食事でもどう?」
久しぶりの再会がよほど嬉しいのだろう。ミヤビは満面の笑みを浮かべて晶を見つめる。
「申し訳ないが、予定が詰まってる」
「もう、そんな他人行儀な態度はやめて。私たちの仲でしょう?」
ミヤビは長い指で晶の頬に触れた。
“私たちの仲”
その言葉が奈々の胸を鋭く突き刺す。
もしかしたら、ふたりは恋人同士だったのかもしれない。なんらかの理由で別れたが、ミヤビはまだ晶を想っている。