クールな御曹司の甘すぎる独占愛
それは彼女の視線や仕草から手に取るように感じる。
そんなことを想像して、奈々は心がズンと重くなった。
「とにかく無理だ」
「……そう。残念ね。それじゃ、しばらく日本にいるから、連絡するわね」
ミヤビは晶の頬にキスをひとつ落とし、奈々の方へ優雅に歩いてきた。
衝撃的なシーンが奈々を凍りつかせる。挨拶の一環と軽く流せないのは、ふたりの過去をあれこれと想像したせいだろう。
「ごめんなさいね。支払いはこれでお願い」
ミヤビは財布から取り出したクレジットカードを奈々に手渡し、取り巻きの人に和菓子の箱を持たせて店をあとにしたのだった。