クールな御曹司の甘すぎる独占愛
◇◇◇
「ミヤビ・キョウタニと知り合いなんて、すごいですね」
奈々は重い心とは裏腹に明るく言ってみる。重々しくすると、奈々が目にした光景も想像したふたりの関係性も真実になりそうな気がしたから。
奈々は、仕事を終えて晶の運転する車に乗っていた。明日は朝早くから晶も仕事のため、食事をしたあとはそれぞれの部屋に帰る予定になっている。
「ロスにいた頃、彼女のエージェンシーのコンサルを担当したんだ。そのときにミヤビとね」
「そうなんですね……」
やはり恋人だったのだろうか。それとも単なる友人か。どちらともつかない晶の言い方がもどかしい。かといって、問いただして“恋人だった”と言われる覚悟も奈々にはできていない。もしもその答えが返ってきたら、奈々の自信は粉々に砕け散る。
「付き合ってない」
「えっ?」
心を読んだかのようなひと言に、奈々は驚いて晶を見つめる。