クールな御曹司の甘すぎる独占愛

奈々が笑うと、水瀬は優しく微笑み返した。


「あのクラブハウスサンドもおいしかったよ」
「お口に合ってよかったです。セミナーでお疲れのところお立ち寄りくださいまして、ありがとうございます」
「その疲れを奈々さんおすすめの和菓子で癒してもらおうかと思ってね」


社交辞令でもおかしくないやり取りをきちんと守ってくれた水瀬の好感度が、奈々の中でさらに上がっていく。容姿は文句のつけどころがなく、性格までよさそう。

視線を感じてそちらに目を向けてみれば、柳が水瀬の隣で不思議そうな顔をして奈々たちを見比べていた。


「水瀬さん、いつの間に光風堂さんと仲良くなったんですか?」
「柳が会社に忘れ物をしてくれたおかげだよ」


意味深に返す水瀬に「え? そうなんですか? さすが水瀬さん、抜け目がないですね」と柳が感心する。

女性に気さくに話しかけるのはいつものことで、奈々にだけ特別だったわけじゃない。当然だが柳の言葉がそう聞こえて、奈々の胸がなぜだかほんの少しだけチクンと痛んだ。

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