クールな御曹司の甘すぎる独占愛
「では、こちらへどうぞ」
奈々はふたりを窓辺のテーブルへと案内した。この時間になるとホテルの中庭はライトアップされて、清々しい昼間とは違う顔を見せる。
配置を計算し尽くされた薄いブルーの照明が流れる川のように波打ち、ロマンチックな景色だ。
「奈々さんイチオシは確かこれだったよね」
水瀬がメニュー表の桜もちと菜の花もちを指差す。
「はい。そちらです」
「柳はどうする?」
「僕も水瀬さんと同じでお願いします。あ、ちなみに和菓子だったら日本茶ですか? コーヒーがいいんですが、合いませんかね?」
柳は水瀬に答えてから、奈々に質問を投げかけた。
「いえ、そのようなことはございません。実は和菓子との相性はコーヒーも抜群なのです」
「え? そうなの?」
ふたりは揃って驚いた顔でメニューから目を離して奈々を見上げた。