クールな御曹司の甘すぎる独占愛

ミヤビとの出会いは三年前。晶がネクサス・コンサルティングのロサンゼルス支社にいたときだった。キングスレーのコンサルを受け持ったのは、たまたまだった。

クライアントが名指ししてきた担当がシカゴ支社に異動したため、晶に回ってきたものだったのだ。

業績が下降を続けていたキングスレーのコンサルを行う最中、社長のウイリアムが《売出し中の女優と食事でもしないか?》と持ちかけられた。晶は再三にわたり断っていたが、度重なる誘いにとうとう折れ、その席に同行したのが間違いだった。

女優相手ということもあり、もてなさなければならない心理が働き、ミヤビに努めて優しく接したのが仇となった。彼女に好意をもたれ、ことあるごとに連絡をしてくる。

だが、そこまではまだよかった。晶には、なんとかうまくあしらう術が身に着いていたから。問題はウイリアムだった。これはあとで知ったのだが、ウイリアムはミヤビと深い仲にあったのだ。

ミヤビの気持ちが自分から離れ、その原因が晶だと知ったウイリアムは激怒。晶とは仕事ができないと、ネクサスに申し立てた。しかも“育成中の女優に手をつけた”との濡れ衣まで着せられる羽目に。

ロス支社の上層部に呼び出され、晶が問いただされたのは言うまでもない。疑いはすぐに晴れたが、担当していた仕事を干されたというレッテルは、しばらくロス支社内で貼られていた。

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