クールな御曹司の甘すぎる独占愛

晶の声はこれまで聞いたこともないほど低く、奈々の膝を震わせる。なにごともなく帰れると思ったのは間違いだった。


「どういうって、見てのとおりだよ。春川さんとここでふたりきりで食事をしてたんだよ。いや、実に興味深い女性だね、春川さんは」


誤解されることを言わないでほしいが、のこのこと来た自分も悪いため、宮内ひとりを責められない。


「晶さん、あの――」


奈々が説明しようとようやく口を開いたそのとき。


「晶! そろそろかと思って」


現れたミヤビが、さらに奈々から言葉を奪う。

奈々たちの背後から来たということは、店内にいたのか。マキシ丈の幾何学模様のワンピースは目を疑うほどに派手なのに、それに負けないオーラを放っている。大きなサングラスをかけているが、洗練されたミヤビの美しさは隠しようもない。

ミヤビさんがどうしてここに……? ……晶さんと待ち合わせていたの?

< 224 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop