クールな御曹司の甘すぎる独占愛
晶の声はこれまで聞いたこともないほど低く、奈々の膝を震わせる。なにごともなく帰れると思ったのは間違いだった。
「どういうって、見てのとおりだよ。春川さんとここでふたりきりで食事をしてたんだよ。いや、実に興味深い女性だね、春川さんは」
誤解されることを言わないでほしいが、のこのこと来た自分も悪いため、宮内ひとりを責められない。
「晶さん、あの――」
奈々が説明しようとようやく口を開いたそのとき。
「晶! そろそろかと思って」
現れたミヤビが、さらに奈々から言葉を奪う。
奈々たちの背後から来たということは、店内にいたのか。マキシ丈の幾何学模様のワンピースは目を疑うほどに派手なのに、それに負けないオーラを放っている。大きなサングラスをかけているが、洗練されたミヤビの美しさは隠しようもない。
ミヤビさんがどうしてここに……? ……晶さんと待ち合わせていたの?