クールな御曹司の甘すぎる独占愛
◇◇◇
珍しく柳が光風堂に訪れたのは、その日の閉店間際のことだった。お客が少なく人手に余裕があったため、明美には二時過ぎに仕事をあがってもらい、店には奈々ひとり。
「ここ最近、水瀬さんが忙しくてなかなかこちらにも来ないから、久しぶりに光風堂の和菓子が食べくなったんですよ」
そう言って笑う柳の顔を見ると、なんだか奈々はほっとした。彼の様子から、柳の耳にはミヤビとのことも、光風堂の置かれている今の状況も入っていないのだろう。
「ありがとございます」
柳が言うように晶は忙しくしているため、あの朝以来、彼とは会っていない。何度かした電話での彼の様子だと、晶もミヤビのSNS投稿については知らないようだった。
「あれ? なんだか元気がないですね」
奈々の顔を見て、すぐに柳が感づく。
「いえ、そんなことはないですよ」
そう誤魔化し、笑ってみる。