クールな御曹司の甘すぎる独占愛
「どういうことですか?」
「なにを?」
つぶらな瞳をくりくりとさせながら明美が奈々をじっと見上げる。
「なにって、昼間来た柳さんが一緒にいる人ですよ! 奈々さん、ご存知なんですか?」
明美は、フロアに聞こえないよう声のトーンを極力抑えた。
「昼間クラブハウスサンドをお届けした水瀬さんよ」
「えー! そうだったんですか? あんなにイケメンなら私が行きたかったですー」
明美が盛大にがっかりする。大きく目を見開いたあと、シュンと肩を落とした。
「それじゃ、ご注文のお品は明美ちゃんがお持ちしてくれる?」
「いいんですか?」
「もちろん。よろしくお願いね」
和菓子とコーヒーをトレーにのせて明美に手渡した。