クールな御曹司の甘すぎる独占愛
明美は鼻歌でも飛び出しそう足取りで水瀬たちのテーブルへ行くと、意気揚々とふたりの前に和菓子とコーヒーを並べる。そして二言三言、言葉を交わしてからニコニコ顔で戻ってきた。
「やっぱりカッコいい!」
興奮を隠しきれない明美がその場でぴょんぴょんと跳ねる。
「お客様に聞こえるから静かにね」
口もとに人差し指をあてて“しー”とすると、明美はおどけた表情で舌をペロッと出した。
食べ終えたふたりがレジ前までやってくると、明美が嬉々として伝票を受け取る。
「奈々さん、おいしかったよ。来店して正解」
水瀬がそう言えば、柳が「ほんとです」と大きくうなずく。
「僕、和菓子ってあまり食べなかったんですけど、洋菓子より繊細っていうか。とにかくちょっとした衝撃でした」
一生懸命感動を伝えようとしてか、身を乗り出しすぎた柳はレジカウンターにぶつかってきた。