クールな御曹司の甘すぎる独占愛

明美は鼻歌でも飛び出しそう足取りで水瀬たちのテーブルへ行くと、意気揚々とふたりの前に和菓子とコーヒーを並べる。そして二言三言、言葉を交わしてからニコニコ顔で戻ってきた。


「やっぱりカッコいい!」


興奮を隠しきれない明美がその場でぴょんぴょんと跳ねる。


「お客様に聞こえるから静かにね」


口もとに人差し指をあてて“しー”とすると、明美はおどけた表情で舌をペロッと出した。

食べ終えたふたりがレジ前までやってくると、明美が嬉々として伝票を受け取る。


「奈々さん、おいしかったよ。来店して正解」


水瀬がそう言えば、柳が「ほんとです」と大きくうなずく。


「僕、和菓子ってあまり食べなかったんですけど、洋菓子より繊細っていうか。とにかくちょっとした衝撃でした」


一生懸命感動を伝えようとしてか、身を乗り出しすぎた柳はレジカウンターにぶつかってきた。

< 26 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop