クールな御曹司の甘すぎる独占愛
「そうなんです。よろしくお願いします」
日を改めている猶予はない。晶を早くこんな状況から解放したい。その想いだけが奈々を突き動かしていた。
奈々の真剣な様子を見て諦めたのか、宮内は「……わかったよ」と背もたれに身体を預けた。あとは奈々の双肩にかかっている。晶との別れの恐怖に怖じ気づかずに、演技をしなければならない。
依子に案内されて個室に入ってきた晶は、宮内がいると気づき顔色が変わる。
そんな晶の顔を見て、奈々の胸が苦しくなる。久しぶりに会えたのに、今夜が最後。
「……奈々、どういうこと?」
晶がその場で立つすくむ。
「まぁとにかく座ってよ、水瀬」
奈々の隣にいる宮内が椅子を勧めると、晶は奈々が震えあがるほどに鋭い目で彼を刺した。
「どういうつもりだ、宮内」
「あの、晶さん、お話を聞いてください」