クールな御曹司の甘すぎる独占愛
今度は奈々が座るようにお願いすると、晶はしぶしぶ椅子にストンと腰を下ろした。
痛いほどに注がれる晶の視線から、奈々は思わず目を逸らす。晶の真っすぐな目を見たら、もうなにも言えなくなる。言わなきゃならないことが、なにひとつ口から出なくなる。でも、そうするわけにはいかない。
晶の居場所を守る。それが晶に対する奈々の精一杯の愛。心に鉄のベールをかぶり、奈々が口を開く。
「晶さんとお別れしたいんです」
「……え?」
ここへ呼ばれた理由が、まさかそんな話だとは晶も思わなかっただろう。一拍間を置いてから、目を激しく瞬かせた。
「水瀬、悪い。実は彼女と……いや、奈々とそうなったんだ」
そう言いながら宮内は奈々の肩を引き寄せた。ついその手を突き放したくなった奈々だが、なんとかこらえた。
「まぁ平たく言えば、気持ちを通じ合わせたって言うのか? 俺も奈々を愛し、奈々も俺を愛してるってことだ」
「……なにふざけたことを言ってるんだ」