クールな御曹司の甘すぎる独占愛

◇◇◇

真っ白い無機質な壁に四方を囲まれた部屋は消毒薬の匂いがかすかに漂い、どことなく気分が滅入る。救急病院の特別室だそうだが、応接セットとバスルームやトイレがある以外は、普通の病室となんら変わらない。

晶は深いため息を吐きながらベッド脇の椅子に腰を下ろした。


「どこか痛いところは?」


晶に背を向けて横になるミヤビの細い腕には、包帯が巻かれている。

幸いにも事故による怪我はたいしたことはなく、手足と背中に打撲と擦傷を負っただけで済んだ。医師から告げられたのは全治一週間とのこと。進行方向の信号が赤になったため、ミヤビと接触する前に車が減速していたのが不幸中の幸いだった。


「ミヤビ?」
「もう帰って」


晶が呼びかけると、ミヤビは毛布を引き上げて頭から被った。

仕方なく晶が「明日また来るよ」と彼女に声をかけ、病室から出ようとしたとき。ノックの音と同時にドアが開けられる。返事をする隙すらなかった。

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