クールな御曹司の甘すぎる独占愛
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ロケで来日していたアメリカの人気女優が交通事故で入院したニュースはネットを中心にまたたく間に広がり、職場でも女子社員を中心にその話題で持ちきりだった。
しかも連日、日本人の男が病室に足繁く通っているスクープまで飛び出す始末。その“男”は言うまでもなく晶なのだが、幸いにも顔にモザイクがかけられて不鮮明なため、柳ですら気づいていない。
晶だけは中に通すようにミヤビから伝えてあるのだろう。病室の前には常に警護が付いていたが、晶は入ることを許されていた。
ただ、病室に入っても、ミヤビはひと言も発さない。晶から顔を背けてベッドに頭から突っ伏し、その上にはさらに毛布まで被る。怒りを解く気はさらさらないようだった。
だからといって、このまま放っておくわけにもいかない。事故は車道に飛び出した彼女の過失に違いないが、晶に責任の一端がないとは言い切れないから。とにかくミヤビに奈々とのことを理解してもらわなければ先に進めない。
「ミヤビ、そろそろ顔くらい見せてくれてもいいんじゃないか?」
晶が優しく声をかけても、返ってくるのはため息だけ。面会時間が終わるまでの一時間、無言でただ椅子に座っているしかなかった。
そんなやり取りが続いた五日目の夜。晶が「今夜は帰るよ」と立ち上がったときだった。