クールな御曹司の甘すぎる独占愛
見開きで四ページにもわたったインタビューは、片側一面に大きく奈々の写真まで掲載されているのだ。
さすがに大きすぎたため、一度あった校正の段階で編集相手にせめて四分の一サイズにしてほしいとお願いたのだが、結局出版されたものはそのままのサイズだった。
「なに言ってるんですか、奈々さん。あの写真のおかげで男性のお客さんも増えているんですからね?」
「なんなら、水瀬がいないうちに俺が奪ってもいいんだけどね。一度はそんな話にもなったわけだし」
明美と宮内に両脇から言われて、奈々は肩をすくめた。
「では、そろそろお席のほうへよろしいかしら?」
静々と歩く依子に案内されたのは、店の一番奥にある個室だった。白いクロスがかけられたテーブルに木目調の椅子、大きな窓の向こうには海が広がる。今日はよく晴れているから、水平線もくっきりだ。
明美が奈々の隣に座り、宮内はふたりの前に腰を下ろした。予約をしていたため、飲み物に続けて先付が運ばれてきた。運転手の宮内に合わせて、奈々も明美も冷たいお茶にしてもらった。